後頭神経痛
頭皮の神経が急に過敏になることで起こります。痛い部位が明確であることが特徴です。後頭部に短くて鋭い痛みが走る症状を繰り返します。上部頸髄から出ている神経が痛みを起こしています。症状が強い場合には適切な治療による解消をおすすめしています。時に、頭部に帯状疱疹ができている場合があり、痛み方もそっくりなので、頭皮のチェックも欠かせません。
その他の頭痛
慢性的な頭痛では、片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛が知られていますが、他にも多くの頭痛があります。ホルモンバランスの乱れやストレスからの開放によって起こる頭痛もありますし、アイスクリームを食べる、飛行機に乗るなどで起こる頭痛もあります。なお、頭痛は脳疾患の症状として現れている可能性がありますので、いつもと違う頭痛があった場合には注意が必要です。
ホルモンバランスの崩れによる頭痛
女性は月経周期によってホルモンバランスが大きく変化します。PMS(月経前症候群)や月経痛の症状として頭痛を起こすこともありますが、実際は片頭痛であることが多いため頭痛外来による治療で効果的に緩和・解消が可能です。特に女性ホルモンのエストロゲンは月経前に急激な減少を起こすことがあり、それがトリガーになって片頭痛を起こしているケースがよくあります。
閉経するとエストロゲン分泌量が低下して周期的な変動がなくなるため、片頭痛を起こさなくなるケースが増えるとされています。ただし、閉経前の更年期にはホルモンの分泌量が大きく揺らぎながら低下するため変動の幅が大きくなり、頭痛がひどくなることも珍しくありません。更年期という時期は子どもの独立、親の介護、仕事や地域社会で責任ある立場が求められる、筋力や体力の低下、老眼など心身両面にストレスが多い時期です。つらい頭痛がある場合には、早めに受診して頭痛を緩和・解消しましょう。
週末頭痛
片頭痛は、ストレスからの開放、寝すぎ、空腹などによって起こることがあります。週末はこうした条件が重なりやすいため片頭痛を起こすことが多く、週末頭痛と呼ばれています。片頭痛ではない週末頭痛もあるため、原因はよくわかっていません。週末頭痛を起こしやすい場合には、週末も生活習慣を変えないことで改善されることもあります。それでも週末頭痛を繰り返す場合には、頭痛外来を受診して症状や状態に合わせた治療を受けることが重要です。
飛行機頭痛
飛行機は気圧の大きな変化が急激に起こるため、脳の血流も大きく変化して頭痛を起こしやすい乗り物です。片頭痛がある場合、飛行機に乗ると片頭痛の症状を起こしやすいため、頭痛外来を受診して予防薬や治療薬を処方してもらっておくと安心できます。飛行機で起こる頭痛では、着陸の際に起こるものが多いとされています。片頭痛以外の飛行機頭痛では、前頭部の片側や目の奥などに強い痛みを起こしますが、着陸後には自然に解消します。副鼻腔炎(蓄膿症)があると飛行機頭痛を起こしやすいとされていますので、鼻詰まりがあって飛行機頭痛を起こす場合は耳鼻咽喉科受診をおすすめします。
二日酔いの頭痛
アルコール摂取は片頭痛や群発頭痛のトリガーになることがわかっていますが、その場合は少量の飲酒でも起こるため、二日酔いの頭痛とは違います。二日酔いの頭痛は、二日酔いにともなって起こる頭痛のことです。二日酔いは、アルコールが分解されてできたアセトアルデヒドによって起こるとされていますが、二日酔いで頭痛が起こるメカニズムは完全に解明されているわけではありません。アルコール代謝物質はアセトアルデヒド以外にもありますし、二日酔いでは脱水や低血糖も起こりやすくなります。また、添加物などの影響や炎症反応などが関わっている可能性もあります。二日酔い頭痛の解消には、十分な水分の摂取が重要です。時に、漢方薬が有効なこともありますので、ご相談下さい。
日常の動作で起こる頭痛
日常的な行動や動作によって頭痛が起こることもあります。発症に疾患が関与している可能性もありますので、こうした頭痛が気になるようでしたら、専門的な検査を受けると安心できます。
整体による頭痛
整体、特に首をひねるような動作によって、激しい後頚部の痛みが発生することがあります。椎骨動脈解離という危険な事態になっている場合があり、なるべく早く脳MRI/Aを受けることが必須です。椎骨動脈解離は脳梗塞やくも膜下出血につながる可能性があります。
RCVS(可逆性脳血管攣縮症候群)
排便時、シャワーを浴びる際に、突然雷が落ちたような激しい頭痛を感じることが特徴です。くも膜下出血の可能性もあるため、必ず救急要請して救急病院を受診してください。その時の検査でくも膜下出血などの異常がなく、帰宅可能となっても、排便、入浴で再び同じ頭痛が繰り返される場合は、RCVSを疑います。時間を空けて繰り返しMRI/Aを撮影することで、診断をつけることができます。妊娠中や、40~50代の女性に多いとされています。
トレーニングによる頭痛(一次性労作性頭痛)
筋トレなどの運動負荷によって突然激しい痛みが始まる頭痛です。脳動脈解離の可能性があるため、必ず受診し脳MRI/Aを撮影して下さい。検査で異常がない場合、一次性労作性頭痛と呼びます。
性交時頭痛
頭痛の国際分類にも明確に記載があります。オーガズムに達する直前に起こる場合、直後に起こる場合に2分され、直後に起こる場合は、その後もしばらく頭痛が続くことが特徴です。原因には様々な説がありますが、決め手に欠けます。脳動脈解離の可能性があるため、必ず受診し脳MRI/Aを撮影して下さい。羞恥心から医師に伝えづらいことも多いですが、決して稀ではありませんし、生活に直結することも多いため、遠慮なくご相談下さい。内服が効果を発揮する場合もあります。
できるだけ早く受診する必要がある頭痛
脳疾患など重大な病気によって起こる頭痛は、できるだけ早い受診が必要です。下記のような症状に気付いたら、すぐに医療機関を受診してください。
- 突然、激しい頭痛が起こった
- 今まで経験した頭痛とは違う痛みがある
- 頭痛が徐々に強くなる
- 頭痛を起こす頻度が増えた
- 頭痛以外に熱もある
- 麻痺、しびれ、呂律が回らないなどをともなう
- 頭部を打撲した後に頭痛が起こった
- 頭痛が月の半分程度で起こり、月に10日以上鎮痛薬を服用している
気になる頭痛、いつもと違う頭痛があったら頭痛外来を受診してください。また、市販薬に頼ることが増えると薬物乱用頭痛になって頭痛が悪化する可能性がありますが、頭痛外来による治療であればそうしたリスクを抑えた解消が可能です。軽い頭痛で深刻な脳疾患を早期に発見できたケースもあります。当院の頭痛外来では専門医が丁寧な問診と精密な検査を行って診断し、適切な治療法をご提案しています。検査で問題がなければ安心できますし、頭痛の効果的な解消や予防にもつながりますので、頭痛でお悩みの場合にはお気軽にご相談ください。