脳の疾患

脳卒中とは

脳卒中とは脳卒中は疾患名ではなく、脳血管障害で起こるいくつかの疾患をまとめて呼ぶ際に使われています。脳血管障害には、血管が破れて出血する脳出血やくも膜下出血、血管が詰まって血流が途絶えることで障害を起こす脳梗塞や脳血栓に分けられます。どちらの脳血管障害も重大な発作を起こすまでほとんど自覚症状がなく、突然起こります。死に至るケースもありますし、重篤な後遺症が残ることもあるため、脳血管障害の可能性がある場合には一刻も早く適切な処置を受ける必要があります。突然起こった激しい頭痛、さらに吐き気や嘔吐、足の麻痺やしびれなどは脳血管障害が疑われます。すぐに救急医療を受診しましょう。ただし、脳血管障害は発作を起こしてしまってからでは手遅れになることも珍しくありません。こうした脳血管障害はそれぞれの疾患によって危険因子が変わってきますが、高血圧、脂質異常症、糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病は代表的な危険因子です。生活習慣病はほとんどが自覚症状なく進行してしまうため、予防には定期的な検査としっかりとしたコントロールが不可欠です。

頭痛は脳卒中の前兆の可能性も

頭痛で特に危険なのは、突然起こる激しい頭痛です。今まで経験したことがないほど強い頭痛が突然起こった場合には、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血が疑われます。我慢せずすぐに救急車を呼ぶなどの対応が必要です。なお、くも膜下出血は最初の出血で軽い頭痛程度しか起こさないことがあるため、頭痛・吐き気・嘔吐などがある場合は、頭痛が軽くても必ず専門医を受診してください。
また、左右どちらかの後頭部やうなじに痛みがある場合には、椎骨動脈解離を起こしている疑いがあります。椎骨動脈が引き裂かれる解離を起こして脳梗塞やくも膜下出血につながるケースが日本では多いとされています。脳腫瘍では起床時の頭痛が多いのですが、ストレスなどで同様の症状が出ることもあります。
専門医でなければ、危険な頭痛かどうかの見極めが難しいケースが多いため、「おかしい」と思ったら頭痛外来を受診することが重要です。

脳卒中の種類

脳卒中は脳血管障害のことで、その障害を起こす複数の疾患に分けられ、それぞれ原因、症状、治療法が異なります。

血管が詰まる

脳梗塞や脳梗塞の前触れとして現れる一過性脳虚血発作は、脳の血管が詰まったことで起こる代表的な疾患です。

一過性脳虚血発作

血管が詰まって脳梗塞のような症状を起こしますが、多くは1時間以内に症状がなくなります。定義では24時間以内に症状が消失するとされています。
症状が比較的短時間に消えますが、脳梗塞の前触れとして現れることが多いため、放置すると危険です。この段階で適切な治療を受けることで、その後の脳梗塞発作予防につながる可能性があります。

脳梗塞

動脈硬化による血管の狭窄や血栓などによって脳の血管が詰まり、その先にある神経細胞に血液が供給されなくなって神経症状を起こします。どこが詰まったかによって現れる症状は異なりますが、代表的な症状には、手足に力が入らない、体の片側麻痺、呂律が回らない、めまいやふらつき、視覚障害などがあります。

血管が破れて出血する

脳の血管が破れて出血するタイプの脳卒中の中で代表的なのが、脳出血やくも膜下出血です。

脳出血

脳動脈が破れて出血し、それによって神経細胞が障害されます。高血圧は最大の危険因子です。高血圧が続いて動脈硬化を起こし、脳出血になるケースが典型例です。急に起こる頭痛、体の片側麻痺、吐き気や嘔吐、意識混濁などの症状があったら速やかに救急を受診してください。

くも膜下出血

脳全体を覆っているくも膜の内側で、脳動脈瘤が破裂して出血しています。脳血管障害の中で最も死亡率が高く、危険です。くも膜下出血のほとんどは脳動脈瘤の破裂によって起こりますが、脳動脈瘤ができても破裂する前は自覚症状はありません。そのため、専門医を受診して破裂していない脳動脈瘤を発見し、適切な治療を受けることで危険な発作を防ぐことができます。未破裂の脳動脈瘤は100人に1人とかなりの高頻度で発見されます。

脳卒中の症状

  • 体の片側のしびれ(手足や顔面の左右どちらか)
  • 体に力が入らない
  • 呂律が回らない、言葉がうまく伝えられない
  • 片方の目が見えない
  • ものが二重に見える
  • めまい・ふらつき
  • 徐々に頭痛が強くなる
  • 経験したことのない激しい頭痛
  • 意識が遠のく
  • 吐き気や嘔吐をともなう

経験したことがないような激しい頭痛がある場合は、すぐに救急車を呼んでください。それ以外の症状がある場合には、当院の頭痛外来の受診をおすすめします。お気軽にご相談ください。

早めに専門医へ相談しましょう

早めに専門医へ相談しましょう現在、日本では脳出血が減少傾向にあり、脳梗塞が急激に増加してきています。こうした脳血管障害では、発作を起こす前にはっきりとした自覚症状を起こさないケースが多いのですが、頭痛が前兆症状として現れることがあります。ですから、頭痛がある場合には頭痛外来を受診することがとても重要なのです。また、専門医を受診することで早期の脳梗塞発見が可能ですし、くも膜下出血を起こす主な原因となる脳動脈瘤も発見できます。生活習慣病があるなど、リスクの高い方は早めに専門医を受診して相談することで重大な発作を起こさずに治療できる可能性があります。
当院では、脳外科医として数多くの手術を経験して脳血管障害についての研鑽を積み重ねてきた日本脳神経外科学会専門医の院長が診療を行っています。こうしたキャリアで痛感した「深刻な発作を起こす前に発見」することを重視し、患者さまからじっくりお話をうかがった上で適切な検査を行って診断しています。頭痛などの症状がある場合や、リスクが高い方は、お気軽にご相談ください。

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